普段の健康管理や病気・ケガの治療に欠かせない薬。その薬を扱うスペシャリストとして専門の資格を保有しているのが薬剤師です。
人命に関わることから責任の重い仕事ではありますが、病気で悩む患者さんや地域住民の健康管理に貢献できるやりがいの大きい仕事でもあります。
給与が高いことと比例して、資格取得は簡単ではありません。6年制の薬剤師養成課程を修了した後、薬剤師国家試験に合格することで取得できます。ここ数年の合格率は6~8割程度です。
薬剤師に求められている社会的な役割は幅広く、薬剤師法の第1条では薬剤師の役割について「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」と提示しています。
薬剤師の男女比率はおおよそ4:6と女性が多め。活躍場所がたくさんある分、さまざまなスタイルで働けるのが薬剤師の魅力です。結婚や出産など、ライフステージの変化に応じて働き方を選択しやすいことが、女性人気へと繋がっているのでしょう。
前述のとおり、薬剤師はさまざまな場所で活躍することができます。そして職場によって業務内容もさまざま。活躍場所とそれぞれの業務内容についてご紹介いたします。
医師の処方箋のもと調剤を行い(調剤業務)、患者さんに薬や飲み方に関する説明(服薬指導)をします。患者さんの過去の服薬記録やアレルギーなどの確認(薬歴管理)、処方箋に関する質問をする(疑義照会)も仕事です。
医療用医薬品の管理のほか、一般用医薬品の管理や販売も行います。資格を取得した薬剤師のほとんどが、調剤薬局を就職先とするようです。
一般用医薬品の管理や相談対応、販売などが主なお仕事です。ドラッグストアによっては、品出しや棚卸しなどの在庫管理、レジ打ち、接客などの店舗業務も行います。
また、中には調剤併設店もあり、その場合は調剤業務も行います。
病院薬剤師として、院内処方の調剤業務や注射調剤業務、入院患者や外来患者への服薬指導、医師への医薬品の情報提供、医療用医薬品の管理などを行います。医療機関に併設された調剤薬局などと比べ、科目数が多い病院の場合は扱う薬剤も多岐にわたります。薬剤に関する幅広い知識が身につく環境です。
そのほかにも、抗がん剤を用いた治療を行う外来化学療法への立ち合いや抗がん剤の調製、医師や看護師と一緒に治療に関するカンファレンスに参加することもあります。
製薬会社の広報担当者であるMR(医薬情報担当者)として活躍する薬剤師も多いです。主なお仕事内容は、病院やクリニック、薬局などを訪問し医療機関で取り扱ってもらっている医療用医薬品に関する情報を提供すること。新薬が発売されたときには売り込みも行います。
そのほか、MRではなく研究・開発者として新薬の研究や開発を行うことも。薬局や病院に比べ給与の水準は高めというのが製薬会社の特徴です。
医療機関への立ち入り調査を行う地方公務員、安全確保の指導を行う保健所薬剤師、自衛隊病院での調剤を行う自衛隊薬務官、不正麻薬の取締を行う麻薬取締官など、公務員として活躍することもできます。
福利厚生が充実しており、安定した収入を見込めるといったことが魅力です。
小中高などの学校にて、学校医とともに生徒の健康を守ります。具体的には、校舎の衛生管理、プールの水質調査、教室の温度・湿度・照度などが適正かを定期的に確認。調査結果をもとに必要に応じて学校へ指導を行います。
そのほか、生徒に対して、タバコやアルコール、薬物の有害性について、薬の正しい服用方法についての授業を行うこともあります。
以上のように、薬剤師が活躍できる場は数多くあります。どの場所でも、専門職として薬剤師は頼られることが多く、人の命にも関わる非常に重要な仕事であることに変わりはありません。
自分に適している職場、やってみたい職場を探すためにも、どういう選択肢があるのか、職場ごとの役割や特徴について知っておくことをおすすめします。
薬剤師に関心をお持ちの方は、日本薬剤師会も併せて確認してみてください。
薬剤師の資格所有者は年々増加しているものの、求人数が減少しているのが実情です。薬剤師充足を後押ししている理由の1つが「テクニシャン」と呼ばれるスタッフの存在。
テクニシャンは、薬剤師の補佐として薬剤のピッキング業務などを行う人を指します。テクニシャンと業務を分担することにより薬剤師の仕事量が減少したため、1つの薬局あたりに必要な薬剤師の数を減ったというのが原因です。
しかし、前述のとおり薬剤師が求められている場所は医療機関にとどまらずさまざま。
職種、または地域によっては人手不足のところもあるため、せっかく資格を取得したのに働き口がないという心配はないといえるでしょう。
また、都心への人材の流出に伴い、地方では薬剤師不足の傾向があります。
職場や場所を広げて検索すれば、きっと自分に合った職場を見つけられるでしょう。
薬剤師が充足している傾向にある今、行きたい企業や職場で活躍するためにはほかの薬剤師との差別化を図ることが大切です。どのような対策ができるのか紹介いたします。
認定薬剤師や専門薬剤師のように、特定分野におけるスペシャリストを目指すのが賢明な方法といえるでしょう。働きたい場所で求められそうな資格を事前に取得しておくことで、採用率アップを目指せます。そのほかにも、自己成長やキャリアアップ、収入アップにも期待が持てます。
認定薬剤師は、がん薬物療法認定薬剤師やプライマリ・ケア認定薬剤師、外来がん治療認定薬剤師、救急認定薬剤師など、種類はさまざまです。専門薬剤師には、がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師、精神科専門薬剤師、妊婦・授乳婦専門薬剤師などがあります。
薬剤は、正しく飲むことでその効果が発揮されます。逆を言えば、誤って飲むことでリスクを伴う可能性もあるということです。医師の指示のもと調剤して患者さんに渡して終わりではなく、正しい効果を期待できるように患者が理解できるように説明を行い、正しく服用してもらうことが重要です。
そのため、薬学に関する知識だけでなく、近年ではコミュニケーション能力の高さを求められています。
患者さん一人ひとりの立場に立った対応を取ることができれば、患者さんやその家族だけに限らず医師や看護師といったメディカルスタッフからの信頼も勝ち取ることができ、職場で重宝される存在となるでしょう。
臨床検査技師とは?医療機関には、医師や看護師のほかにも、さまざまな専門分野で働くメディカルスタッフが活躍しています。中でも、検査のスペシャリストである臨床検査技師についてご紹介。臨床検査技師は、いったい何をする仕事なのでしょうか。具体的な仕事内容やその重要性、活躍できる場所などについてまとめてみました。
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