
臨床検査技師になるには、臨床検査技師国家試験に合格しなければなりません。受験資格を得るには数種類のルートがあり、高校卒業後の進路によって異なります。
多く見られるのは、大学の医療系学部や3年制の短大の臨床検査学科、専門学校の養成課程などを卒業して受験する3パターンです。また、獣医学系・薬学系学部で必要な科目を履修して卒業した場合にも受験資格が得られます。
臨床検査技師国家試験は、化学・生物に関する幅広い分野から構成されており「臨床生理学、臨床科学、臨床検査総論、臨床血液学、臨床微生物学、臨床免疫学、臨床医学総論、公衆衛生学、病理組織細胞学、医用工学概論」の10科目が出題されます。それぞれの学校での学びに加え、試験対策の勉強も個々人でしっかりとしておくことが必要でしょう。なお、近年の臨床検査技師国家試験の合格率は約8割ほど。きちんと事前に勉強しておけば、決して合格不可能な数字ではありません。
主に検査や分析を行うので、実質的には理系出身の方に向いています。理系というと、化学をイメージする人が多いかもしれませんが、実際の検査は生理学的検査、生化学検査、病理検査、血液検査、微生物検査など多岐にわたっているのが実情です。また、職業柄「人間」を対象とするため、生物分野に関心を持っている人の方がより向いているかもしれません。
臨床検査技師は、医師や看護師に比べると患者さんと接することは多くありません。しかし、臨床検査を通して「人の命を救う」「人の人生に寄り添う」という温度感のある大切な任務を任されています。数字のみで画一的判断するのではなく、人間的な温かみのある対応が求められるでしょう。また、近年はチーム医療を導入している医療機関が多くあります。特に救急病院では、緊急の患者の命を救うためにチームワークがとても大切です。臨床検査技師のみならず、医療現場では協調性のある人が適しているでしょう。
実際の検査では病気や異常を正しく判断できるよう、的確な観察力、推察力、慎重さが求められます。細かい作業を行うことも多いので、根気強い人や手先が器用な人がより活躍できそうです。なお、医学は日々進歩しています。この進歩に自ら付いていき、常に研鑽する姿勢を持つことも大切です。
臨床検査技師として働くことの魅力の一つに、実務を積めば積むほど専門性を磨けるということが挙げられます。もちろん、国家試験に合格するには机上の知識を身につけることが必要です。しかし、現場では知識を実践的に活かすことが絶対的に求められます。しかも向き合う症例は多岐にわたっているため、柔軟性や応用性も必要。そのうえ、医学の進歩にも追随しなくてはなりません。
一見大変そうに思えますが、常に知見を深められるというのは大きな魅力です。成長しない自分よりも日々レベルアップしていく自分のほうが、きっと仕事も人生も充実するでしょう。
なお、ほとんどの検査において各種検査学会が設立されており、会員になると最新の研究について学ぶことができます。研究発表の実施や上位資格を取得することで、待遇が良くなる傾向もあるようです。
さらに、周囲の人の健康を気遣えるという魅力もあります。あなたの臨床検査技師としての知識は勤務先だけでなく、家族や友人にとっても頼りなるものです。周囲の人の異変にいち早く気づくことで、病気の早期発見や予防に貢献できるでしょう。もちろん、自分自身の健康管理にも役立ちます。
臨床検査技師の勤務形態や給与は、職場によって随分と異なります。それをメリットとするかデメリットとするかは人によって違うでしょうが、まずは具体的に見て比較していきましょう。
一般的な病院では、臨床検査技師は臨床検査部という部署に配属されます。同部は検体検査部門と生理学的検査部門に分かれており、大きな病院だとさらに細分化されていることが多いようです。そのため、髄液や組織液といったより専門的な検体検査に関する知識やスキルが身に付きます。中規模の病院では簡単な検体検査までを行い、精密な検査はセンターへ委託していることが多いです。
緊急オペが日常的に行われている病院だと、急な検体検査の依頼に対応するといったハードな勤務(夜勤含む)もあります。しかし、給与にはその分の手当が上乗せされるので、収入自体は悪くないでしょう。また、大きい病院ほど福利厚生が手厚い傾向にあります。
個人クリニックや小中規模病院から委託された検体の検査業務を行っています。病院敷地内にある検査センターの出張所「ブランチラボ」で勤務する場合は、出張という形態で病院に在籍。ブランチラボでは特殊な検査を行うことがあるため、自分が深めたい専門領域があれば事前に調べておくと良いでしょう。また、検査センターによっては大きな病院の臨床検査部と同様に夜勤勤務があります。肉体的な負荷はありますが、夜勤手当による収入アップが期待できるでしょう。
企業や各種保険組合からの委託により、健康診断および人間ドックなどを行っています。当直や夜勤はありません。扱う検体の数が多いため、正確さはもちろんのことスピードも求められます。臨床での検体検査を行う技師に比べると平均年収は低い傾向にありますが、日勤のみの勤務形態を希望する人にとっては望ましい職場だといえるでしょう。
検査センターに委託しない場合、検体検査も生理学的検査も一人で対応するため、より深い知識とスキルが求められます。臨床経験の豊かさを糧とし、高収入かつフリーランスのような勤務を希望される方に適した職場です。しかし、臨床検査技師の仕事の量によっては看護補助のような役割を求められることもあるため、理想と乖離する恐れもあります。
なお、臨床検査技師について、もっと詳しく知りたい方は下記のリンクをご参照ください。
一般社団法人 日本衛生検査技師会

看護師の勤務体系看護師の勤務体系は、日勤のみや夜勤専従、準夜勤と深夜勤、交替勤務を中心に、多様な選択肢があります。日勤のみは生活リズムが安定するため、家庭と両立しやすい点が魅力です。一方、夜勤専従は夜勤手当があり、効率的に収入を得たい方に向いています。交替勤務は2交替制と3交替制があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。納得して働ける仕事を選ぶためには、勤務体系ごとの特徴を知ることが大切です。